学内の環境放射線を測定(理科指導法2/第6回)

投稿者: | 2012年5月24日

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最近は、原発事故の影響によって環境放射線に関する関心が高まり(と言うよりも必要に迫られて)、各地で盛んに測定が行われています。理科の教員になったら、勤務校の敷地の環境放射線を計測するように指示されることもあるかもしれません。ごく基本的なレベルでの計測経験は、理科の教員養成においても、いちおう必要かと思います。欲を言えば、もっと本格的な測定技術や、背景知識も必要なのでしょうが・・・。

本日の講義は、理科指導法1でした。講義科目なので、普段は教室での解説やディスカッションなど座学中心なのですが、実験・観察もある程度は入れておこうと思っています。

そこで今回は、環境放射線の測定を行いました。1)講義内容の区切りがよかったこと、2)夜18時開講の授業なので日が短いうちは暗くて実施できないこと、3)途中で雨が降らないこと、の3条件がだいたい揃ったので、本日の実施としました。

ただ、γ線しか測れない簡単な機器でも、まともなものなら実際には10万円以上します。限られた予算で授業や研究をやりくりしなければならない以上、機器の入手がまず最初の関門です。しかし昨年度末に、何とか2台を備品として購入してもらえました(他に、某化学メーカーから出ている廉価製品も所有していますが、精度も使い勝手も10万円台の機器には全く及びません)。何とか実施の目処が立ったので、今回、いよいよ測定です。

この授業では学生を6つの班に分けていますので、今回は前班グループと後半グループに分かれて、学内の指定ポイントをそれぞれ5箇所まわり、その各地点では5回ずつ計測するように課題を設定しました。

さて、1時間ほどかけて測定した結果、各班の全ての計測値を平均すると、前半グループが0.062μSv/h、後半グループが0.073μSv/h、となりました。

相模原市のウェブサイトを見ると、市の空間放射線量の暫定基準値は0.23μSv/hとなっていますので、これよりはずいぶん低い値に収まっています。また、市が大学の近所の保育園で先月観測した値として公表していた数値は0.05μSv/h程度(ただし砂場5cm高は0.069μSv/h)でしたので、測定誤差も考えるとまあまあ妥当な計測ができたと言えそうです。もちろん、学生が交替で測った数値ですし、地上高などもそれほど厳密には統一していませんので、あくまで目安の数値にすぎませんが。

ちなみに、市が上記の計測に使った機器と、今回の授業で使った機器とは、じつは同一のものです。これは初めて触った小学生でも計測できるくらいのシンプルな機器ですが、多くの自治体でも使っているようですし、「最低限」の知識・技能をもつという意味では、今回の観測をやって良かったかなと思います。

学生の感想をざっと見ても、「実際にやってみた」ということで、よい経験になったようでした。

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