『項羽と劉邦(下巻)』

投稿者: | 2009年6月3日

 項羽と劉邦の天下取り争いも、ついに決着しました。著者は、項羽が倒れたところで筆をおいています。有名な四面楚歌や虞美人との別れの場面は、思ったよりあっさりと書かれていました。その一方で、蒯通(かいとう)のようないわば脇役について終盤の一章をまるまるさいていて、この辺がユニークに感じました。韓信をはじめとする、劉邦や彼を取り巻く人物のその後については、本文中で断片的に述べられてはいますが、決着後の動向についてのまとまった記述はありません。

 紀元前202年に項羽が斃れ、二人の雌雄がついに決したことは、日本にたとえれば(時代は遙かに下りスケールもずっと小さいながらも)徳川家康の天下統一のように、その後の中国大陸の歴史を大きく方向づけたと言えます。

 劉邦の人物像については、佐竹靖彦『劉邦』もお勧めです。また、ジャンル違いですが、先に横山光輝『項羽と劉邦』で登場人物や時代の動きを押さえておいた方が、イメージが湧きやすいと思います。

 ずいぶん前の作品ですが、古本で初版3巻セットが格安で出ていたので購入してみました。ずっと気になっていたので、この機会に読めて満足です。

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